真夏の停電でエアコンが止まったら、犬や猫のために最初にすることは室温とペットの状態を確認し、できるだけ涼しい場所を確保することです。扇風機や保冷剤だけで長時間しのげるとは限りません。室内の暑さが改善できない場合は、冷房が使える安全な場所へ早めに移動しましょう。
環境省は高温の室内での留守番などをペットの熱中症リスクとして注意喚起しています。この記事では、停電直後の行動、犬猫の異変、飲み水の確保、避難の判断、停電前に準備しておきたい電源対策を順番に紹介します。
夏の停電でエアコンが止まったら|最初の5つの行動
- 飼い主と住まいの安全を確保する:地震・浸水・火災などの危険があれば、その場にとどまらず自治体の情報に従って行動します。
- 犬・猫と室内の状態を確認する:室温・湿度、直射日光、呼吸の様子、元気の有無を確認します。温湿度計があればペットの高さで計測します。
- 熱がこもりにくい空間へ移す:日差しを遮り、比較的涼しい部屋や日陰へ移動します。窓を開ける際は外気のほうが涼しく、安全に換気できるかを確かめ、猫の脱走や犬の飛び出しを防ぎます。
- 飲み水を複数箇所に用意する:清潔な水を切らさず、必要に応じて水皿を増やします。断水にも備え、ペット用の飲み水を別に確保します。
- 冷房が使える移動先を検討する:室温が下がらない、復旧見込みが立たない、ペットに異変がある場合は、冷房のある親族宅・知人宅・受入可能施設などへの移動を優先します。
重要:「室温が何℃なら絶対に安全」という一律の数値はありません。犬種・猫種、年齢、肥満、持病、湿度、風通しなどでリスクは変わります。特に短頭種の犬、高齢・幼齢のペット、心臓や呼吸器に疾患のあるペットは早めに対応してください。
停電中にできる暑さ対策|扇風機だけに頼らない

写真:Jakub Żerdzicki / Unsplash
直射日光を遮り、涼しい場所を選べるようにする
遮光カーテンやブラインドで日差しを遮り、床面など比較的涼しい場所に犬猫が移動できるようにしましょう。外気温が高い時間帯は、窓を開けるほど室内が暑くなる場合もあります。風を通すかどうかは実際の室内外の状態で判断します。
冷却グッズは補助。嫌がる使い方はしない
冷感マットや、タオルで包んだ保冷剤などは一時的な補助になります。凍った保冷剤を肌に直接押し付けず、ペットが自分で離れられる場所に置きます。熱い室内を安全な温度に保つ代わりにはならないため、こまめに状態を確認してください。
送風は冷房ではない
電池式・充電式の扇風機を使える場合でも、送風だけで室温が下がるわけではありません。停電が長引き、高温多湿の環境が続くときは、送風だけで様子を見続けないでください。
飲み水とトイレ用品|断水も同時に備える

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冷房が止まると同時に断水が起こることもあります。飲み水だけでなく、食器、ペットシーツ、猫砂、排泄物用の袋なども用意しておくと、在宅避難や移動先で役立ちます。
- 水皿を倒れにくい場所に複数設置し、衛生状態を保つ
- 普段の食事に必要なフードや療法食を確保する
- 暑さで食欲や飲水量が変わっていないか確認する
- 持病がある場合は、水分管理や薬についてかかりつけの獣医師に相談する
フード・水・薬の備蓄日数は、関連記事の「ペットの防災備蓄は何日分必要?」で確認できます。
こんな症状があれば熱中症を疑い、動物病院へ
熱中症は命に関わる場合があります。次のような変化が見られたら、直ちに涼しい場所へ移し、動物病院へ連絡してください。
- 普段と比べて呼吸が激しく、落ち着かない
- よだれが多い、口の中や歯ぐきが赤い
- ぐったりしている、ふらつく、反応が鈍い
- 嘔吐、意識の低下、けいれんなどがある
受診を手配しながら、獣医師の指示を受けて涼しい場所で体を冷やします。冷たい水や氷を直接当てたり、意識が低いペットに無理に水を飲ませたりすることは避けてください。いったん落ち着いて見えても、体内に影響が残っている場合があるため自己判断で様子見にしないことが大切です。
犬猫の熱中症の症状・対処法は、高崎市動物愛護センターや東京都保健医療局の情報も参考にしてください。
冷房を確保できないときは、避難・移動の準備を
停電が長引いて室内が暑くなり続ける場合、我慢して在宅避難を続けることが安全とは限りません。家族・親族・知人の冷房が使える場所、ペット受入可能な宿泊施設や預かり先を、平常時から複数考えておきましょう。
避難所ではペットを連れて行ける「同行避難」と、人とペットが同じ居住空間で過ごせることは別です。受け入れ条件や居住場所は自治体・施設・災害の状況で異なります。ペットをキャリーなどに入れて移動できるよう準備し、現地の最新情報を確認してください。
ペットとの在宅避難を続けてよいかの判断基準もあわせて確認しましょう。
なお、炎天下の車内で犬猫だけを待たせるのは危険です。停電時の一時退避先としても、空調のない車内に残さないでください。
停電前に準備する電源|冷房を何時間使えるか確認する

写真:Reka Sarudi / Unsplash
モバイルバッテリー・ポータブル電源でできること
モバイルバッテリーはスマートフォンや小型機器の充電に便利です。一方、家庭用エアコンは必要な電力が大きく、一般的なモバイルバッテリーでは動きません。ポータブル電源を検討する場合も、容量(Wh)だけでなく定格出力(W)、対応電圧、起動時の負荷を必ず確認してください。
たとえば平均500Wの機器を2時間動かす場合、単純計算だけでも1,000Whが必要です(500W×2時間)。実際には変換損失、気温や設定による消費電力変動などがあるため、計算どおりの時間が動く保証ではありません。
家庭用蓄電池・太陽光発電も事前の動作確認が必要
据置型の家庭用蓄電池は停電時の電源確保に役立つ可能性がありますが、停電時に使える回路・コンセント、200V対応、出力上限、蓄電残量は製品と設置条件によって異なります。太陽光発電がある家庭でも、停電中の動作方式を事前に確認しましょう。
まずは「停電時に使いたい家電・必要な時間・必要な電力量」を整理することが大切です。容量だけを見て「エアコンが一晩使える」と判断しないでください。
安全上の注意:ガソリンなどを燃料とする携帯発電機は、排ガスによる一酸化炭素中毒のおそれがあるため屋内で絶対に使用しないでください。ポータブル電源の使用時もメーカーの安全上の指示を守りましょう。
停電に備えるチェックリスト
- ペットが普段過ごす場所に温湿度計を設置した
- 高温時に移れる涼しい部屋と、冷房の使える避難先候補を決めた
- 水・フード・薬・トイレ用品を一定日数分確保した
- キャリー・リード・迷子札・健康情報を取り出せる
- スマートフォンの予備電源と連絡先を用意した
- 電源機器を使う場合は、必要な電力と停電時の使用条件を確認した
よくある質問
Q. 扇風機や冷感マットがあれば、夏の停電でも大丈夫ですか?
A. いいえ。送風や冷感グッズは補助策で、室内の温度を十分に下げられるとは限りません。暑さが続く場合は冷房の使える場所への移動を検討してください。
Q. 停電中でも犬や猫を車に残してよいですか?
A. 車内温度は短時間で上昇します。空調を確保できない車内にペットだけを残さないでください。
Q. ペットに安全な室温は何度ですか?
A. 一律の安全温度は示せません。体質や疾患、湿度、日差し、風通しによって変わります。数値だけで安心せず、犬猫の状態と室内環境をあわせて確認してください。
Q. エアコンをポータブル電源につなげば長時間使えますか?
A. 製品の対応電圧・出力・容量とエアコンの消費電力により異なります。接続可能か、実際に何時間運転できるかを事前に確認する必要があります。
まとめ|夏の停電は「室温の確認」と「移動先の確保」が最優先
夏の停電時は、ペットの状態を確認し、日差しを遮る・飲み水を確保する・可能な範囲で熱がこもりにくい場所へ移すといった初動を取りましょう。ただし、冷房なしで安全に過ごせない場合は早めに移動することが重要です。ペットの熱中症が疑われる場合は、すぐに獣医師に連絡してください。
平常時から避難先、備蓄、電源を組み合わせて備えることが、犬猫と過ごす夏の停電対策につながります。
参考資料(2026年10月13日確認)

