災害時に猫を安全に連れ出すには、「キャリーを普段から安心できる場所にすること」と「出入り口からの脱走を防ぐこと」が重要です。地震や豪雨のとき、急いで猫を捕まえようとしても、怖がって家具の下に隠れたり、キャリーを嫌がったりすることがあります。
この記事では、キャリーが苦手な猫でも無理をさせずに進められる5段階の慣らし方と、避難時の脱走対策を具体的に紹介します。猫と避難する際の持ち物・避難所の仕組み全般は猫と一緒に避難するための準備と対策も参考にしてください。
猫の避難訓練は何から始める?
最初にすることは、キャリーを押し入れから出して、猫が自由に近づける場所に置くことです。環境省は、同行避難に備えて日頃からキャリーバッグやケージに入ることに慣らしておくよう案内しています。
避難訓練は「短時間で入れられるようにすること」よりも、猫自身が怖がらずに近づき、入って過ごせることを目標にしましょう。慣れるまでの期間には個体差があり、数日で進む猫もいれば数週間以上かかる猫もいます。
猫をキャリーに慣らす5つのステップ
ステップ1|キャリーを日常の居場所にする
家の中の静かな場所に、扉を開けた状態のキャリーを常設します。取り外せる扉なら安全を確認して外しても構いません。中には滑りにくいタオルや使い慣れた敷物を敷き、いきなり猫を押し込まないようにします。

写真:Lei Hwang / Unsplash
ステップ2|おやつや遊びでよい印象をつくる
最初はキャリーの近くでおやつを与え、慣れたら入口、さらに奥へと位置を変えます。猫が自分から入ったら静かに褒めて、好きなおやつなどでよい体験につなげます。入らない日は、扉を閉めずに終えて大丈夫です。

写真:Mohammad Reza / Unsplash
ステップ3|猫が落ち着いたら数秒だけ扉を閉める
猫が中でくつろげるようになってから、少しだけ扉を閉じ、落ち着いていられるうちに開けます。鳴く、激しく暴れる、呼吸が速くなるなどの様子があれば無理をせず前の段階に戻りましょう。閉める時間は猫の反応を見て少しずつ調整してください。
ステップ4|持ち上げる・数歩運ぶ練習
ロックのかかり具合を確かめ、安定した持ち方でキャリーを少し持ち上げます。慣れたら家の中を数歩移動し、揺れや音に慣らします。移動中にふたや扉が開かないかも毎回確認しましょう。訓練の最初から屋外へ連れ出す必要はありません。
ステップ5|家族全員で「避難の手順」を試す
家族が猫の居場所を把握できるか、キャリーと持ち出し袋をすぐ取れるか、鍵や靴・避難経路を確認できるかを家の中で試します。緊急時に同時に外へ飛び出すのではなく、自分たちの安全を確保し、猫を安全に収容できる手順を共有しておきましょう。
キャリーの選び方と、嫌がる猫への配慮
キャリーは、猫が自然な姿勢で向きを変えられ、通気性があり、底が安定するものを選びます。扉の留め具や取っ手の破損がないかも定期的に確認してください。出し入れに苦労しやすい猫には、上部が開くタイプや上半分を外せるタイプが役立つ場合があります。
猫がキャリーを見ただけで逃げる場合は、まずキャリーの近くで落ち着いて過ごせる段階から始めましょう。強引に追いかけたり閉じ込めたりすると嫌な記憶につながりやすいため、無理な練習は避けるのが基本です。極端な恐怖や体調の変化がある場合は、かかりつけの獣医師に相談してください。
災害時の猫の脱走を防ぐ4つのポイント
1.玄関・窓を開ける前に猫の居場所を確認
余震や大きな音で猫が驚く可能性があります。避難準備のときは、玄関・窓・ベランダ扉の開閉を家族で声掛けし、猫をキャリーに収容して扉を確実に閉めてから移動します。自宅が危険なときは、人の安全確保を最優先してください。
2.キャリーは扉・ファスナー・留め具を二重確認
移動前にロックの締め忘れや破損、布製ならファスナーの開きがないか確認しましょう。キャリーを持ち上げる前に持ち手や底の安定も確認します。移動中や避難所の屋外で安易にキャリーを開けないことも重要です。
安全点検:移動前に留め具・扉・ファスナーを手で確かめ、途中で開かないことを確認しましょう。
3.迷子札・マイクロチップ・連絡先を準備
災害時に万一はぐれた場合に備え、マイクロチップの登録内容や連絡先が最新か確認します。安全に装着できる迷子札なども併用を検討しましょう。ペット避難ナビの「マイペット」では、写真・健康情報・避難時の注意事項を記録し、ポープレ ペットIDの無料QRを作れます。QRは身元確認を助ける補助的な手段として活用してください。

写真:Tracy Anderson / Unsplash
4.避難先でキャリーを開ける場所を決める
避難所など慣れない環境では猫が急に飛び出すおそれがあります。扉や窓が開いている場所では開放せず、現地のルールと管理者の指示に従ってください。猫を落ち着かせるための布や普段の匂いが付いた敷物を用意しておくと役立ちます。
多頭飼い・高齢猫はどう準備する?
多頭飼いでは、原則として猫ごとに安全に収容できるキャリーを用意し、頭数分を持てるか、家族で担当を分けられるかを確認しましょう。猫同士の相性がよくても緊急時の緊張や移動時の安全を考える必要があります。
高齢猫、持病のある猫、通院中の猫は、必要な薬・療法食・体調管理方法を獣医師と事前に相談してください。キャリーに入る練習も関節や呼吸への負担を避け、猫の体調を優先します。持病がある場合の薬の備蓄はペットの防災備蓄は何日分必要?も参考にしてください。
猫の避難訓練チェックリスト
- キャリーを普段から部屋に出している
- 猫が自分から近づき、入れる
- 扉を短時間閉めても落ち着いている
- キャリーを持ち上げて数歩移動できる
- 家族が猫の居場所・キャリーの位置を把握している
- 玄関・窓の開閉ルール、脱走防止策を決めている
- 迷子札・マイクロチップ情報・連絡先を確認した
- 避難先候補と猫の受け入れ条件を事前確認した
できていない項目があっても焦らず、猫の様子を見ながら繰り返しましょう。準備は1回で終わらせず、キャリーや避難先の情報を定期的に見直すことが大切です。
避難先と必要な備えも、平常時に確認しよう
猫がキャリーに慣れても、避難所での受け入れ条件は施設や自治体によって異なります。ペット避難ナビで候補を確認し、自治体の最新情報と実際の開設状況を必ず照合してください。
まとめ|「無理に入れる」より「自分から入れる」練習を
猫の避難訓練は、キャリーを見慣れるところから始め、おやつ・短時間の扉の開閉・屋内での移動へと進めます。脱走防止のために、玄関・窓、キャリーのロック、身元確認情報も合わせて点検しましょう。災害時は飼い主の安全が最優先であり、猫の避難は自治体の情報を踏まえて判断してください。
参考資料
- 環境省「ペットの災害対策」(キャリー・ケージへの慣れ、平常時の備え)
- 環境省「人とペットの災害対策ガイドライン<一般飼い主編>」
- 大阪市生野区「ペットのための災害対策」(2026年6月5日)
- Cats Protection「Choosing and Using a Cat Carrier」(キャリーへの段階的な慣らし方)

